推しのます寿しを見つけたいんです。
富山の土産は、ます寿しで決まりだと思います。ただ、ビジュアル的な変化も少ないし、一見さんだとどれを買ったら良いのやら……。結局ジャケ買い(個性豊かだから、それはそれで楽しい)になっていたのだけれど、やはりじっくり食べ比べて決めたいというのが本音。でも足がはやい食べ物ということもあって、試食できる場所は存在しませんでした。
そう、過去形。実は、ます寿しを食べ比べることができる場所が富山駅前に誕生しているんです。
というわけで、いまこそ推しのます寿しを見つけるべく向かったのは「ホテルJALシティ富山」。ここのオールデイダイニング「カフェ コントレイル」には「ます寿し食べ比べ膳」なるものがあって、「富山ます寿し協同組合」に加盟している全12店舗のます寿しの8種類を日替わりで食べることができるという、全国のます寿し好き待望のホットスポットなのです。
この食べ比べ企画が生まれたのは支配人の山﨑さんの実体験がきっかけでした。ホテル開業前は、東京と富山を往復する生活。お土産でます寿しを買いたいけれど、どれが自分の好みなのかまったく分からない。自分のように何度も来る人間ならまだしも、初めて富山を訪れた人が、いきなりホールで買うというのは、なかなかハードルが高いと思ったのだそう。
「ます寿し食べ比べ膳」は多くの旅行者に愛されるとともに、意外と地元の人にも人気だといいます。というのも、富山の人は家ごとに贔屓にしているます寿しが決まっていることが多いらしく、あまり余所のものを食べる機会がないのだとか。
登場したのは、お盆に乗せられた8種類のます寿したち。いわゆるピザのように切るのではなく、正方形に切り分けられていて、見た目にも美しい。
まるで宝石のようなます寿したちをいざ実食。この日のラインアップは、青山総本舗、元祖関野屋、元祖せきの屋、吉田屋、川上、今井商店、なかの屋、味の笹義の8種類でした。
なんだこれは! 予想以上に違うじゃないか。美味しんぼだったら、海原雄山がうなるシーン。鱒の味付けはもちろんなんだけれど、予想を超えてきたのは酢飯のバリエーション。甘味と塩味が店によってぜんぜん違います。シンプルに見えるます寿しには、実は個性が詰まっているんですね。
味だけでなく、鱒の厚みや並べ方、ご飯の炊き方や、押しの加減。まさに職人たちによるこだわりの仕事。ホテルがオリジナルで作ったチャート表を見つつ、ふむふむ、なんて言いながら違いを吟味する感じもグルメ気分で楽しいかぎり。これは確かに明確な好みが生まれる奥深さ。違いの分からないグルメ、と呼ばれてきた自分にすらそれが感じられたのは、やはり同時に食べ比べられたことが大きい。
ちなみに自分は「味の笹義」が好き! ということが判明しました。今後は迷いなく、ホールでドーンと2箱買って帰ることにします。いや、ちょっと待てよ。今日食べられなかった4店舗の味も気になるし、ちょっと店に寄って買って行こうか。そうしてバッグの中身は、ます寿したちでパンパンになっていくのでした。
ます寿司食べ比べ膳(味噌汁・サラダ付き) 2,700円(税込み)
ホテルJALシティ富山 Cafe Contrail
https://www.toyama.hoteljalcity.com/restaurant/
住所:富山県富山市宝町1-4-1